伐採が日本の山を守るって本当?

コラム

日本の山は、木を伐採しないと死んでしまう。

あなたはご存知でしょうか。この森林大国(先進国第二位の森林面積を誇る)である日本では、今、林業が問題になっていることを。

その問題とは、大量の植林による弊害で沢山の山が死んでしまっていることです。「え?植林の何が悪いの?」ときっと思われるでしょう。ご安心ください。順をおって、説明させていただきます。

戦前戦後は、山の木に資産価値があった。

山の問題は、環境よりも経済状況が深く関係しています。

戦後、日本では木の価値が高く、人々の生活やインフラには沢山の木が使われていました。建築で使われる基礎材や建材、昔は、電柱が木でつくられていました。

そのため、戦後の考え方では「山は資産、山の木で孫の代まで家の資産が守られる」と考えられており、当時資産価値としては高く、復興に大量の木が使われていたこともあり、加工もしやすい杉とヒノキを戦前に大量に植林されていたのです。国策としても植林が促されました。

資産としての価値がなくなってしまうと、山は放置される。

しかし植林された木が資産価値を持つまでには数十年かかります。その間に日本は本格的な西洋化、資本化になり、昔、木でつくられていたものがコンクリートや鉄・プラスチックといった別の素材や安価な輸入木材に取って代わられてしまいます。するとどうなるか。本当は資産価値があったはずの日本中の山々では木が使われない為、木が放置されます。

山が放置されると、木に資産価値がなくなってしまう。

木は、太く、節が少ないように育てなければ売り物になりません。売り物にするためには、定期的な間伐などのメンテンスが必須です。しかし戦後、日本では木材よりも安価な代用品が多く登場していた為、いくら頑張ってメンテナンスをして木を売ったところで儲けにすらなりません。もしご自分が山を所有されているとしたら、どうされるでしょう。儲からないことに時間をかけることなんて出来ませんよね。

そうして、間伐もされない山が日本中に生まれてしまったのです。

増えすぎた杉とヒノキ、そして3つの問題が起こっている。

こうして管理されていない山では植林+野生の杉やヒノキが伐採されないまま放置されています。

そして1963年にとある公害が発表されることになります。1つ目の問題である「花粉症」です。

実はこの花粉症、ここ50年程度の問題であり、それ以前には花粉症というものは存在していませんでした。

2つ目の問題が「倒壊」です。適度な伐採がされていないと、木が伸びすぎて台風等が起こった際に建物などに倒壊する恐れがあるのです。枝が伸びすぎて道路などに枝が落ちてきて人や車を傷つけることもあります。

3つ目の問題が「土砂崩れ」。山の土壌は草の根っこに守られています。木が生え放題になると、草が育たなくなり、土砂が不安定になるのです。

木の資産価値が低くなる→売らなくなる→ずっと山が放置される。

経済の話に戻りましょう。悪循環なことに、間伐されていない山の木は節だらけで細く育ちます。つまり売り物にならないのです。

節があると板材にしたときに節の位置に穴が空いてしまうためです。太くなければ売れない理由は、幅のひろい板でないと家具や建材として利用出来ない、しづらいからです。

すっかり下がってしまった日本の木材自給率。

日本の木が売り物にならないものが多くなった為、日本の木材自給率は急落の一途をたどります。1955年ではほぼ100%だった木材自給率は、2018年では40%以下になりました。

安価な建材は、知っている人は怖くて使えない。

一般の方々の知識が無いのをいいことに、建材には安価なホワイトウッド等が頻繁に使用されています。確かに安価ですが、ランニングコストや安全面に疑問が残る素材です。耐久力・防腐性・防虫性はヒノキ等とくらべるとはるかに劣るからです。日本と木の関係は、本当にこのままで良いのでしょうか。

日本の木は良い。

売り物にならない=品質が悪いという訳ではありません。むしろヒノキに至っては、日本固有の樹種であり、耐朽性・防腐性・防虫力が高く、あの風合い・香り・手触りは唯一無二。固有樹種であるため、海外には存在しない素材です。(厳密には台湾には台湾ヒノキが存在しますが、伐採が禁止されています)

現在は、使いやすくなってきた。

建材として利用しづらい原木が多いのは確かですが、現在では集成材にしたり、床材として加工したりと、様々な工夫で日本の木は使いやすい環境になっています。少しずつでも「普段の生活に、木を使ってみよう」という考えを持つ人が増えることで、日本の山の問題は改善されることは確実です。

そういった木材利用促進のためにも、まずは多くの人に「日本の木の良さ」を知ってもらうことが、僕らにもできることだと考えました。

木の良さを今の子どもたちに知ってもらうことに、木工屋としての責任がある。

弊社がヒノキを主材としているのには、ひとえに「日本の木の良さを、今の子どもたちにも体感してほしい」という一方的な思いがございます。なので、節の無いヒノキの一番良いところだけを、きみたつシリーズとして利用させていただいています。なるべく無塗装で仕上げているのも同じ理由です。硬さと柔らかさが同居する、すべすべと心地良い感触は無塗装ならでは。素材そのものの香りも楽しめます。

特に乳児の子にとって感触を知ること、匂いを感じるというものは成長・知育においてとても重要です。「あぁ、これが本物の木なんだな」と今の子どもたちに知ってほしい、五感で感じて欲しいと考えています。

おわりに。

「森林伐採」という言葉は、誤解された形で多くの方に伝わっていると考えています。

確かに伐採してはいけない地域での伐採等は地球の環境を傷つけます。しかし、こと日本の山においては、伐採しなければ山は死んでしまいます。多くの方と無垢の木が出会えることを願っています。

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